da capo
「歌の学校よ」

ってレイは答えたわ。

「じゃあ……、歌、上手いんだ」

のんびりと低い声でヒロくんが言った。

少しだけ楽しそうに。

でもね、その頃レイはすっかり自信を失っていたの。

弱々しく首を振りながら

「そんなことない」

って言うのよ。

するとね、ヒロくんは意外なことを言ったのよ。



ねぇ、あきひろくん?

無口な彼は何て言ったと思う?



――ふふふっ。
ちょっと近いけど違うわ。

彼はね

「歌ってよ」

って言ったのよ。

信じられないでしょ?

自信なくして上手くないって言ってるのに、歌えなんて。
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