アリと王女
あれから一時間はたっただろうか…
(実際には五分ぐらいだけど)
アリの声なんて全然しない
ましてや、気配すら感じない。
『やっぱり、あれはただの夢だったのね!』
パンっと、わたしは手をたたいた。
ほんとにいたらどうしようかと思ったわー
『あんな夢、もう懲り懲りよ!』
『夢なんかじゃないよ』
チクッと手に痛みがはしった。
『アリの王様はいるんだよ。でも、突然いなくなっちゃった』
可愛らしい女の子の声…手には小さな小さなアリがちょこんと立っている。