アリと王女


あれから一時間はたっただろうか…
(実際には五分ぐらいだけど)



アリの声なんて全然しない


ましてや、気配すら感じない。



『やっぱり、あれはただの夢だったのね!』



パンっと、わたしは手をたたいた。


ほんとにいたらどうしようかと思ったわー



『あんな夢、もう懲り懲りよ!』


『夢なんかじゃないよ』


チクッと手に痛みがはしった。


『アリの王様はいるんだよ。でも、突然いなくなっちゃった』


可愛らしい女の子の声…手には小さな小さなアリがちょこんと立っている。

< 15 / 45 >

この作品をシェア

pagetop