アリと王女

わたしは喉が渇いていた

最後の気力を使って走り、勢いよく水を飲んだ。

不思議と疲れはとれて、力がみなぎっていく。




『お助けー!』


何処からか急に声がした。


辺りを見回すが、目に入るのは一面の原っぱと噴水だけ。


『ここです!お嬢さん!ーああ違う。左、左』


またもや声がした。
言われた通り、左を見てみる。



あら、アリが溺れているわ。可哀想に…


でもわたし、動物嫌いなのよね。


そんなに見ないでよ。
勘弁してちょうだい…


わたしが後ろを向こうとしたとき、またしてもあの声が聞こえた。

< 2 / 45 >

この作品をシェア

pagetop