アリと王女
わたしは喉が渇いていた
最後の気力を使って走り、勢いよく水を飲んだ。
不思議と疲れはとれて、力がみなぎっていく。
『お助けー!』
何処からか急に声がした。
辺りを見回すが、目に入るのは一面の原っぱと噴水だけ。
『ここです!お嬢さん!ーああ違う。左、左』
またもや声がした。
言われた通り、左を見てみる。
あら、アリが溺れているわ。可哀想に…
でもわたし、動物嫌いなのよね。
そんなに見ないでよ。
勘弁してちょうだい…
わたしが後ろを向こうとしたとき、またしてもあの声が聞こえた。