アリと王女
『おうおうぅ…そんなに嫌な顔しないでくれよう』
鳥は大きな翼で涙を拭っている。
『ちょっ…。泣かないでよ~』
鳥の目からは、イチゴぐらいの大粒の涙が、洪水にでもなってしまいそうなぐらい溢れ出ている。
仕方なくわたしがハンカチを渡しても、鼻をかむだけで、一向に治まりそうにない。
『ね、お願い!もう嫌な顔しないし、悲鳴も上げないからっ』
わたしは必死に頼む。
その時、鳥の目がキラリと光った。
『…ホントに?』
『え…ええ』
なんなんだこの目の輝きは。
怪しすぎる。
それに、鳥の涙はもう乾いていた。
『じゃあ、オイラと友達になろう♪』
ーギュっ
『ひぃっ…』
わたしの手は、鳥のパッションピンクに包まれた。