アリと王女
ーダメダメ。ダメよわたし。
気を失うもんですか…
鳥は相変わらず、握手をしたままの手をブンブンと振っている。
ダメよ…
その時、
『こら~!カブーロ。エルダに近づいたら駄目だって言ったでしょ!』
『…ヒナリ!』
ナイスタイミング!
わたしは鳥の手が緩んだ隙を見て、さっとヒナリのもとへ駆け寄った。
『助かったわ。…ありがとう』
ー動物にこんなにも感謝したのは初めてだ。
『カブーロ、次同じことしたら許さないわよ。わたし達にはエルダが必要なんだから…』
『ーえっ?』
『わかったよぅ…。だけどさ、ヒナちゃん。オイラはただ仲良くー』
『まって!』
わたしは2人の話しを遮った。
わたしが必要…って?