アリと王女

『エルダには言わないとね…』



二人とも、やけにシリアスだ。



『オイラが言うよ。…あのね、エルダちゃん。話しを聞いても、あまり質問しないでね』


『?…ええ、わかった』



何を言うんだろう…






『…オイラたちは、みんな覚えてないんだ。自分の名前も、家族も友達も。でもある時、夢でね、こう言われたんだー』


『「少女がお前たちを救うだろう。そして全ては終わり、再びこの地に活気がー。いつの日か、その時が来るまでー」ってね』




ーはあ?



『それって、つまり…』

『うん。エルダちゃんのことだよ』




ー頭が真っ白になった。


二人とも、嘘をついているようにも思えない。


< 27 / 45 >

この作品をシェア

pagetop