アリと王女
『エルダには言わないとね…』
二人とも、やけにシリアスだ。
『オイラが言うよ。…あのね、エルダちゃん。話しを聞いても、あまり質問しないでね』
『?…ええ、わかった』
何を言うんだろう…
『…オイラたちは、みんな覚えてないんだ。自分の名前も、家族も友達も。でもある時、夢でね、こう言われたんだー』
『「少女がお前たちを救うだろう。そして全ては終わり、再びこの地に活気がー。いつの日か、その時が来るまでー」ってね』
ーはあ?
『それって、つまり…』
『うん。エルダちゃんのことだよ』
ー頭が真っ白になった。
二人とも、嘘をついているようにも思えない。