アリと王女
『そこで』
ヒナリがひょいと手のひらの上に乗った。
動物にまだ慣れてないわたしの体は、ビリビリと電気が流れたように震えた。
『エルダ、もう一度言います。アリの王様を助けて。それと、わたしたちの忘れてしまった記憶を一緒に探して下さい』
必死に訴えるヒナリが悲しく見える。
わたしにはどうにも出来ないわよ…
夢の言葉だって、わたしじゃない、もっと他の女の子かも知れないじゃない…
『ヒナリ…』
「ガサッ」