アリと王女


わたしは息を潜めた。



『誰?誰?!』


カブーロはあっちこっち行き来して、バタバタと羽を羽ばたかせている。



「エルダ!もしそこにいるのなら返事をして!」


『ーママだわ!』



ああ、わたしったら。
ヒナリがいたから、ママの事なんてすっかり忘れてた。




わたしは立ち上がり、ママの声がする方へ向かった。




マーゼ伯母様もいるのかしらー



みんな、心配してた筈だわ



『ママ!』




『…エルダ?』



『そう、わたしよ!』



『エルダなのね!ー今行くわ』



やっと戻れるっ…


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