アリと王女
『お嬢さん!私をご覧になったでしょう。助けてください!』
えっ…
わたしはもう一度振り向いた。
恐る恐る手を近づけると
アリはわたしの指に、がっしりとつかまった。
『いやぁー、助かりました。危うく溺れ死んでしまうところでした』
アリは二本の足で立ち、犬のようにブルっと震えた。
『しかし、間抜けな姿を見られてしまいましたね私、アリの王様です。
お助けいただき、ありがとうございます』
わたしは突然の出来事にびっくりして、頭が真っ白だった。
『それはそうと、お嬢さん…』
アリはニコッと微笑んだ
『私と結婚してください』
わたしは気絶した。