アリと王女
『昨日、決まっちゃったのよ。レピシエ国の旦那様がどうですかって…』
レピシエ国…
確か、工業がすごく発展してるっていう…
『あなただって、王子様と逢いたいなんて言ってたじゃない。それに、セビル様はとっても良い人よ』
ーそんなの、ママの勝手すぎるわよ
『まだあるの…』
『第一、わたしは結婚したいなんてまだ思ってない!
全部、ママの勝手じゃない。自分の事は自分で決めさせてよ!
ほんと、最悪だわ!』
一息で言い終えた。
心臓がバクバク鳴っている。
たぶん顔はリンゴのように真っ赤だろう。
ママはびっくりしたまま何も言わない。
ーもう、最悪…
涙を堪えながら、わたしは部屋を出ていった。