アリと王女
『わたし、ヒナリにアリの王様を探してって言われたの。だから、戻ってあげなさいよ』
『…そうですか』
もうっー
なんなのよこの王様!
わたしが喋ろうとしたときだった
『私ですね…ヒナリとは幼なじみで、確かに婚約者なんですよ』
『それで?』
王様は言いにくそうにモジモジした。
『私はヒナリと結婚したいとは思ってないのです』
『えっ?そんな…』
王様は小さな拳に力を入れ、わたしを見つめた。
『…私が本当に結婚したいお相手は貴方なのです』