アリと王女
『貴方、魔法を使えるの?』
王様は、まるで、そんなこと誰だって出来るというような顔をしている。
『私はいろいろ使えますよ。そうですね…』
王様は何やら渋い顔をして考えこんでいる。
『行く前に、私の魔力を預けておきましょうか』
それってわたしに?
『でも、魔法なんて夢のはなしでしょ。使えるなんてありえない。』
王様がニヤリと口を歪めた。
ーヒナリそっくりだ
『では聞きます…何故貴女は私たちの言葉がわかるのでしょう』
『ーそんなの知らないわ。聞きたくて聞いてるんじゃないもの。いつの間にか聞こえるようになってたのよ。あんたたちの言葉がね!』
『知りたいですか?』
『は?』
王様が上目遣いで訊いてきた。
『何故貴女が話せるようになったのか…知りたいですか?』
それは知りたい…
わたしはコクンと頷き、唾を飲み込んだ。