アリと王女
『教えなさいよ』
『違う違う』
王様は指?(足なのかもしれない)をチッチとふった。
『それは人にものを頼む態度ではないですよ』
…人じゃないじゃない
わたしがムスっとしてると王様はすぐに帰ろうとするから、仕方なく、丁寧に頼んでみた。
『どうぞ、お教え下さいな!』
『うん。そうです。良くできました。ではお教え致しましょうか』
ー良くできましたって…子供じゃあるまいし
そんなことを思っていると、何処からか急に音がした。
ーいや、声かもしれない
『オヨビだよ!オヨビだよ!カラピッサが呼んでるよ!』
『カラピ??誰それ』
王様のほうを見ると、顔は蒼白で黒が青白くなっていた。
『カラピッサが…。ああ、呼んでいるのか…そうか…。では、行かなければ…ああ…』
王様は一人でブツブツ呟いている
『待ってよ。教えてくれるんじゃないの?』
『いえいえ。今はそれどころではないのです。…早くしなければ』
王様はソワソワしながら辺りを見回した。
『嘘つく王様なんて最低ね!ほんっと、ママといいアリといい…』
わたしがそっぽをむくと、王様は待って下さいと肩に登ってきた。
『ーああ、エルダさん。何も、私は教えないとは言っていないじゃあありませんか』
王様は短い指の先をピンと伸ばした。
『近いわよ…』
王様の顔がぐんぐん近づいてくる。
『…私に結婚を申し込めば教えて差し上げます』