アリと王女
『ーで、王様を逃がしちゃったわけ?』
『…そうです』
わたしは王様と居たときのことを話した。
もちろん、プロポーズのことを除いて…
そして今、ヒナリに説教されちゃっている。
『もうっ。もう少し来るのが早かったら!カブーロ、あんたがモタモタしてるから駄目なのよ』
カブーロは食べていたミミズを落っことした。
『ええっ!?オイラのせいなの…?』
『そうに決まってるじゃない』
ヒナリの八つ当たりに付き合わせられているカブーロが気の毒だ。
『…まあまあ、そこまでにしたら?』
『ーフン。別にいいけど』
わたしはカブーロにウィンクした。
カブーロは涙を浮かべながらも笑顔を見せてくれた。
その隣では、ヒナリがじっと睨んでいる。
ー何だかんだ言って、やっぱり楽しいな