アリと王女
マロさんはわたしより三歳上で、ちょうど十年前にお世話係としてこの城にやって来た。
マロさんの本名は、マラティナ・ライアス
ライアス家の人たちは、代々受け継がれる執事一家として有名らしい。
マロさんも今となってはもう一人前。
…まあ、少しどんくさいけど。
『お嬢様!お待たせ致しました。さあ、行きましょう』
さすが、早いなぁ。
『今日は何色がいいだろうな~』
クローゼットには、色とりどりのワンピースやらドレスが掛かっている。
『春ですし、白やピンクなどはいかがでしょう?』
『ん~。じゃあピンクにしようかしら』
わたしはワンピースに着替えると、マロさんに髪を結ってもらった。