アリと王女
『あっ、そういえば』
ふと思い出したようにマロさんが言った。
『今日は午後から奥様のパーティーがありましたよね。お嬢様もご出席なさるんですか?』
…えっ?
パーティーなんて…
あったっけ??
『もしやお嬢様、今日の事をお忘れに…』
『わ、忘れてなんかないわよ…。ほら、早く髪を結って』
マロさんはほんの三十秒足らずで髪を結い、そそくさと出て行った。
わたしは、お気に入りの白のポシェット手に取り肩に掛ける。
『パーティーの事なんて、これっぽっちも覚えていなかったわ。…面倒くさいし、サボっちゃおうかしら』
どうしようかと悩んだ末、サボる事にした。
ママに見つかりませんように…
わたしはそうっとドアをあけ、周りに誰もいないかを確認してから、忍び足で大広間まで行った。