あいらぶゆう~AI love YOU~
掴んでいた手をそっと離すと、
正樹くんの手だけが虚しくそこに残っていた。
「でも」
これが全部あたしの気持ちじゃない。
まだ全部伝えきれてない。
「こんなあたしを
好きになってくれてありがとう。
こんなあたしを、
ずっと想ってくれてありがとう。
正樹くんはきっと誰にも負けないくらい素敵な男の子だよ。
正樹くんに似合う素敵な女の子を捜してね」
くるりと振り返り、
千夏の部屋へと戻る。
「ねぇ」
ドアノブに手をかけたとき、
正樹くんの声がして顔だけ振り向いた。
「ちゃんと告っていいかな。
つーか、これくらいいでしょ?」
正樹くんを見つめながら、
体ごとちゃんと振り返る。
「愛ちゃんが好きだったよ。
ずっと、出会ったときから」
そう言った正樹くんは、
今まで見た中で1番輝いて見えた。
「ありがとう」
笑いながらそれだけ伝えて、
逃げ込むように千夏の部屋のドアを開けて中に入った。