37℃ 【短編】
「それは、あなたの願いを何でも叶えてみせます。」



「何でも?」

「はい、何でもです。」




「あっ、願いは1個だけ~とかそんなんでしょ!?」

「いえ、あなたの退屈が紛れるまで、いくつでも願いを叶えます。」




「嘘だ~そんな上手い話があるわけないじゃん!!
お願いを言っても、自分でなんとかしなさい、とか言うんでしょ!?」


「いえ、きちんと叶えます。私魔法使いなので。」




「マジ!?じゃあ、試しにこの造花を生花に変えてみて!!」


窓辺に飾ってある造花を指差した。




「その願い叶えてみましょう。」


「何それ~。」




「仕方ないでしょ!!叶える前にこう言わなきゃいけない決まりになってるの!!」



妖精は怒りながら、造花に向かって魔法の言葉を掛けた。

そうすると、造花はみるみると鮮やかな生花に変わった。




「…これ本物??」


「当たり前です!!」




「嘘~!?じゃあ、この雑誌に載ってる服を出してみて。」




「その願い叶えてみましょう。」


また、魔法の言葉を雑誌に向かって掛けると、妖精の手にその服が現れた。




「グリム!!アンタ本物だ!!」


「ようやく分かってもらえましたか。他に願いはありますか?」




「ある!!ある!!あたし会いたい人がいるんだ~!!
その人に会えたら本当に夢みたい!!あっ、実はこれは夢でした~とかそんなオチだったらどうしよう!!」
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