37℃ 【短編】
「もういい加減忘れなよ。」


皆、私にそう言う。



「忘れられたら、いいんだろうね…。」



「忘れようとしてないだけ!!」




「忘れるって…どうやったら忘れられるの?」



「もっと他に目を向ける事だよ。視野を広げなきゃ、何も出来ないよ。」



「視野って…どうやったら広がるの?」



私は忘れられる術を持ち合わせていなかった。




…ううん、違う。
忘れてしまったら、今まで信じていた全てが消えてしまう。


心の拠り所が、希望が消えてしまうから。
だから、忘れられないのかもしれない。




ねぇ、信じる事はいけない事なの?
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