37℃ 【短編】
マオとそんな話をしてたら、とある駅から乗って来た人に釘付けになった。



「…え…うそ」

「ん?なしたの?」



「あっ…いや、なんでもないよ…」


「…?そう?…って、あっ!?」


マオは驚いて大声をあげた。


そのせいで、一斉に電車内の人に注目された。


その中の一人に、そう、私が絶賛片思い中のあの人がいた。


「ごめん。つい大声あげちゃった。でもチャンスじゃん?」


「えぇ!?無理だって!!」


「何言ってんの。さっき頑張るって言ったじゃん。」

「言ったけど…でも私のペースでいいって…」


「前言撤回。やっぱアンタは、誰かが背中を押した方がいいと思う。ってことで行けっ!!」

そう言って、私の肩に手を置く。


「…そんなぁ~。」



それからは
「行け」や「無理」の繰り返しで、ついにマオの降りる駅になった。


「あたしは絶対行った方がいいと思うよ。アンタかわいいんだし、自信持ちなよ。今日行かなかったら後悔する日が絶対やってくるから!!」



「…うん。ありがとう。」


私も本当は分かってた。
自分から何か行動を起こさなかったら、何も始まらない恋だという事を。


…でも怖いんだもん!!
怖くて何も出来ないんだもん!!


…そんな私は弱虫だ。
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