37℃ 【短編】
階段を2段飛ばしに掛けあがり、改札を出た所で、あの人に近づいた。
「…すいません!!」
あの人が振り返った。
私は、ハァハァと息が切れながら、ストラップを差し出す。
「すいません、これ落としませんでした?」
あの人は不思議な顔をしながら、視線を私からストラップへとゆっくり移した。
「…あっ!?ヤベ、俺落としてたんだ。」
そう言ってポケットを触る。
良かった。やっぱりあの人のだったんだ。
「ありがとう。これ無くしてたら、本当ヤバかった。本当ありがとう!!」
あの人は、満面の笑みで私にお礼を言った。
息切れ中の私には、その笑顔は眩しすぎる。
「急いで届けてくれたんだね。ありがとう。」
「そんな、全然大丈夫です!!あの…これ、どうぞ…」
ストラップを渡す。
これを渡したら、これで終わりだ。
今度いつ話せる?
ううん、今度いつ話しかけられる?
最後にまた「ありがとう」と言って、あの人は歩き出した。
このままでいいの…?
このまま終わっていいの…?
「…すいません!!」
あの人が振り返った。
私は、ハァハァと息が切れながら、ストラップを差し出す。
「すいません、これ落としませんでした?」
あの人は不思議な顔をしながら、視線を私からストラップへとゆっくり移した。
「…あっ!?ヤベ、俺落としてたんだ。」
そう言ってポケットを触る。
良かった。やっぱりあの人のだったんだ。
「ありがとう。これ無くしてたら、本当ヤバかった。本当ありがとう!!」
あの人は、満面の笑みで私にお礼を言った。
息切れ中の私には、その笑顔は眩しすぎる。
「急いで届けてくれたんだね。ありがとう。」
「そんな、全然大丈夫です!!あの…これ、どうぞ…」
ストラップを渡す。
これを渡したら、これで終わりだ。
今度いつ話せる?
ううん、今度いつ話しかけられる?
最後にまた「ありがとう」と言って、あの人は歩き出した。
このままでいいの…?
このまま終わっていいの…?