Z

衝撃

クライアント先を出て
近くのプロントに入る

ノートPCの電源を入れる

カタカタと無線LANに
接続する

自動的にメールチェックを
はじめだす

仕事メールが数件と
見慣れないアドレスからの
メールが一件

そのメールを開くと
大学時代の親友からだ

彼とは
夜遅くまで
将来について
呑みながら
語り合ったものだ

メールには
彼が大手精密機械メーカーの
工場のハケン切りに
あったらしい

数年前最高学府といわれる
大学の法学部を
ほぼ首席で卒業し
官僚になるんじゃないかと
言われていた
そんなやつが

ハケンをしているなんて

私は同じ大学ながら
マイナーな学部で
勉強よりも遊びを楽しみ
成り行きで就職した
そんなクチだった

確か彼には妻子が
いるはずだった

ハケンの給料で
生活をしていけるのか

そんな事を考えながら

今日2杯目のコーヒーを
苦い想いで飲み込んだ

そのとき
私の頭の中には

ある「衝撃」が
芽生え始めていた

その「衝撃」が
徐々に頭を
擡げ始めるのだった
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