Z

Change

会社に帰っての
ミーティングも上の空だった

部長の怒声だけが
会議室にコダマする

「世間から貸し渋り、
貸し剥がしと言われようと
回収して来い!」

日頃はお客様と声色を使い
今では「あのゴミども」である

自分の地位の安泰と
会社の存続それが
すべてに優先する

しかし、部長の場合は
後者よりは自身の保身だろう

今日はこの後
研修のために家に帰らず
ホテルへ直行だ

ミーティングが終わり
会議室を後にして
自分のデスクに戻る

雑用をこなすと
もう時間は夕方になっていた

みんな、三々五々
研修先のホテルへ向かう

食事をしてから
同僚の井野崎と一緒に
ホテルに到着した

彼と別れて
自分の部屋に落ち着く

荷物を解き
テレビをつけると
ベットに横になる

なぜか眠れない

昨日も遅くまで
レポートを書いていたので
眠いはずなのに

頭の中には
クライアントの社長の姿や
大学時代の友達の顔が

浮んでは消え
また
浮んでくる

ベットに横になってから
どれくらいの時間が
経ったんだろう

つけっ放しの
テレビからは
サンドストームが流れている

その嵐が
自分の心の中に
吸い込まれるように
流れ込んでくる

頭の中で
何かが光った

嵐の中の閃光が
クライアントの社長や
大学時代の友達の顔を
吹き飛ばした

そうだ!
それしかないんだ!

もやもやしていたものは
確信へと変った
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