「私」にはなかった「モノ」【実話】
その頃の私の顔は見れたものじゃなかったと思う。

本当に毎日なんで生きているのかわからなかった。
死んでも同じだし、生きていても同じだし、何かするのも面倒だ。

いつも部屋で独り寝ていた。

食事すら面倒だった。
母が夜になると呼びに来る。



「夜ご飯くらい食べなさい。」



面倒だった…けれども父の事もあって母も疲れている。
せっかく作ってくれた夕飯を無駄にする訳にはいかない。

母は料理の得意な方ではない。
肉と言えば塩コショウか醤油で炒める。
野菜と言えば肉を少しと一緒に塩コショウで炒める。
玉子焼きは砂糖が大さじ3くらい入っている。

ただ、私は母の作ったから揚げが大好きだった。
醤油ベースの味付けにほんのり生姜風味で、調度よくつけたモモ肉に片栗粉をつけて揚げただけの物。


そういえば最近から揚げ多いな…
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