「私」にはなかった「モノ」【実話】
翌日もバイトに行った。

相変わらず職員のアキラさんはサボっているらしい。
他の職員さん達にじゃれ付いている。
他の職員さん達も構っているのだから、きっと彼は可愛がられているのだな、と思った。



「お早う御座います。」



楽しそうに話をしていたので、小さな声で挨拶をして、いつも自分が仕事をする場所に向かった。



「あ、おはよう!」



アキラさんが声をかけてくれた。



「お早う御座います。」



彼は笑って、他の職員さんにからかわれながらこちらに向かってきた。



「いつも早いよね?今日は郵便そこに準備しといたから!」

「あ、有難う御座います。」

「あんま喋らないよね?気ぃ狂わない?」

「大丈夫ですよ?慣れてますし、多分誰とも話があわないし…」

「へぇ、いつも何してるの?」

「絵を描いたりとか、他はだいたい寝てます。」



きっと珍しいのだろう。

まわりと違う空気を放った私が。
仕事をしながらずっと質問だ。



「絵って趣味で?どんなの描いてるの?」

「はい、趣味で。どんな…ただこう…ゲームのキャラとか描いたり…」

「へぇ、うまい?」

「下手です。」

「そなの?今度見せてよ。」

「見せるんですか?本当に下手ですよ?」

「いいよ!見せてよ!」



楽しそうだ。

こんなに明るい人と話をした事はあまりない。
なんて元気な人なんだろう。




私もこれだけ明るければ…
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