「私」にはなかった「モノ」【実話】
夢を見た。

中学の時、虐められた夢だ。
人気者の男子から何故だかラブレターのような外装の手紙を貰った。

また嫌がらせに…

どうせ書いてあるのは「キモイ」とか「ウザイ」だろう。
そう思って読まずに捨てた。
読まずに捨てれば私もキモイ、ウザイと言われた訳ではない。

もしこのまま先生に相談したとしても、「でも中身を読んだ訳じゃないだろう」と言われるだろう。
証拠は読まずに捨てたから。
けれども先生に相談する気もなければ、相手にする気もない。

そんな面倒はごめんだ。

嫌いなら干渉しなければいいのに、どうして嫌がらせするのだろうと思った。
ゴミ箱から差出人の男子が問題の品を取り出した。
そしてまた私に渡す。



「いい加減にして下さい。鬱陶しいです。そういう嫌がらせ。意味がわかりません。」

「読んだっていいじゃん、つまんねぇ奴。」

「私は貴方を楽しませるために生まれた訳ではありませんから。読んでも良いですよ?それを証拠品として先生に怒られて、後で泣き目を見るのは貴方でしょうけど…それでも私にその封を開けろといいますか?それは可哀想だと見てみぬ振りをした私の優しさがわかりませんかね?」



彼は黙って席に戻ってしまった。
自分の机にその手紙をしまって、むすっとした表情で黒板を見ていた。

少し言い過ぎたかもしれない。
私も少し苛立っていた。
だが気にすまい。
彼の自業自得なのは明らかだ。
彼の悪趣味な娯楽に付き合う義理もない。


面倒だ。


夢なのに以前にあった事をそのまま繰り返しているだけだった。

小学生の頃、クラスのレクリエーションのドッジボールで一番強い男の子の投げたボールが顔面に当たった時の事、何故だかとなりの席の男の子は人の物をよく隠す。



嫌なことばかり夢で繰り返した。
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