「私」にはなかった「モノ」【実話】
明日はアキラさんと約束した日だ。

直前になってやっぱり怖いなぁ…と思う。
でも約束は約束だ。
嫌な訳ではないんだ。
ただ怖いだけ。

そんな事を考えながらチョコレートを溶かしていた。

溶かしたチョコレートに砕いたクッキーを入れて型に入れていく。
固まったら外して、袋に入れてラッピング。
すぐに終わった。

そのチョコレートは友達に発送。
余ったチョコレートは大きい袋に入れて14日に中学の時の後輩やマツダさんにあげる予定だ。

一息ついた。

友達の家で作っていた。
こういう事は一人でやっていると飽きると思うし、その友達は料理が上手い。
男のくせに…
でも、何か失敗してもフォローしてくれるし、アドバイスもくれる。
他の友達もチョコの作り方を聞きに来ていた。

みんなでチョコを作っていた。



「アユミはこないだ電話で話してた人にあげるの?」



アキラさんの話を友達にしていた。
話と言うか報告だけど…

ずっと年上の彼女達は、きっと飢えているのだろう。
可愛い男の子をみつけたら報告しろと言われている。

なんとなくアキラさんの話もしていた。



「うぅん、さっき送ったのはオン友の人。これは後輩とかマツダさんとか…相談室に御裾分け~」

「あらあら良いの?きっとその人期待してるんじゃなぁい?」

「えぇ~?そんな事ないよ~むしろ貰ったら迷惑じゃないかな?たくさん貰いそうだし。」



後ろから肩を叩かれて振り返った。
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