おいで。


助席の窓ガラスに這いつくばっているあの少女がいた。


青ざめた肌に目を見開いて血を垂らしていた。



ジロリと今にも飛び出しそうな目でお母さんを凝視している。



…ころされる


「お父さん!!車!!はやく出して!!」

私は、お父さんに必死に訴えた。



信号は未だ赤。

でも、そんなこと今の私にはどうでもよかった。


この状態から逃れたい。
その思いしかなかった。


お父さんは、無言で車を発進させた。







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