あたしの執事
その場を後にして、幾分たった今でも愛梨の顔からは血の気が失せ、坂上の腕の中に包まれてもなお体はカタカタ小刻みに震えていた。


「お怪我はありませんか?」


坂上は、優しく愛梨に問いかけた。



「……ごめんね。」


愛梨は喉から声を絞り出すようにやっとの思いで言った。



それは、聞こえるか聞こえないか本当に弱々しい声だった。













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