あたしの執事
「私こそ、お嬢様に怖い思いをさせてしまって…申し訳ありませんでした。」



坂上は、今回の件は全て自分に非があるというような苦しげな表情で言った。




それっきりお互い口を閉ざし、そのまま坂上が運転する車に乗り、二人は帰宅した。



愛梨は、体中の力が抜け、一人で歩ける状態ではなかったので、坂上が抱えて愛梨をベッドまで運んだ。
 


「…ごめん、私のせいで…こんな、こんな…」


「お嬢様?」


愛梨の顔を心配そうに覗き込む坂上は



左頬に切り傷


口の端には血がにじみ


坂上が大事にしていたメガネがなくなっていた。








< 121 / 215 >

この作品をシェア

pagetop