あたしの執事
高いブロック塀に囲まれた家があり、そこには葛城の表札があった。



坂上に付き添われて、車を降り、呼び鈴をならすと奥から物音がして、



「はい、どちらさまでしょう?」



歯切れのよい懐かしい声がした。


愛梨が口ごもっていると、坂上が代わりに返答した。



「桜井愛梨とその執事でございます。」



インターホンの向こう側はしばらく静まり返った。






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