あたしの執事
「愛梨様、お帰りなさいませ。」


いつものように坂上がにこやかに愛梨を白のロールスロイスの前で迎え入れた。


愛梨は坂上を見ると、急にふつふつと自分の中に汚い感情が溢れてくるのを感じ、必死で押さえていた。


─彼に罪などはないのだから。
坂上を責めるなんてお門違いよ。


そうは思っても菜月のあの態度が坂上絡みであることは事実。


愛梨は、怒りのぶつけよう無さにやりきれない気持ちになっていた。



「愛梨様、どうされました?」



坂上はひどく心配した様子で愛梨を覗き込んだ。






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