あたしの執事
「…皆是れ大阿羅漢にして衆に知識せられたり。長老舎利弗……」

ポクポク


僧侶のお経と木魚の音が聞こえてくる。



母の13回忌が終わり、親戚が帰った後、




「愛梨。」と言って、私は家の階段で兄に呼び止められた。



「俺は、母さんがいないせいで、ずいぶん苦労してきた。
ずっと母さんに甘えることもできなかった。なぜかわかるか?
お前のせいで母さんが死んだんだ。お前なんて生まれなきゃよかったんだ!!」



オマエナンカ、ウマレナキャヨカッタンダ




その兄の衝撃の言葉に、


「…私…私。」



否定しようと思って、なにか言おうと思ったが言葉につまる。



兄の気迫におもわず、後ずさりをしていた。



その時、階段で足を踏み外し、ぐらっとバランスを崩した。
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