あたしの執事
「目を覚まされました。」


「そうか。」



伸次は、一つ深い安堵のため息をつき、ほっと胸をなでおろした。



「どれ、愛梨の顔を見てくか…。」



伸次は、そう呟くと愛梨の部屋へと足を向け、歩きだす。



「お、お待ちください。旦那様。」



坂上は急いで、愛梨の部屋に行こうとする伸次を呼び止めた。



「お嬢様は、熱があり、夢にうなされている為、只今興奮状態にあります。差し出がましい事と存じ上げますが、今はゆっくり休ませることが先決かと…。」




自分がその興奮状態の原因なのだが、坂上は何食わぬ顔で伸次に伝えた。
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