Lovejunkie~恋愛中毒~
~第1章~

夏の始まり

カラオケの音楽が賑わう。


(……ったく、下手なくせに歌なんか歌いやがって)


私は心の声をしまい込み 音程が最後までズレていたカラオケを歌う客に拍手を送る。



京都といっても祇園や木屋町という繁華街とは程遠いローカルな街のスナック。

カウンターが5席にボックスが4テーブル。
20人も入ればいっぱいという小さな店だ。
それでも結構 客入りはいい方だと思う。連日連夜 地元の客で賑わっている。


rush 橘 夏美


と書かれた名刺を渡すと 必ず源氏名?と聞かれるが本名だ。



けれどもうほとんど名前で呼ばれることは少なくなった。
『ママ』と呼ばれるようになって一年が過ぎた。


名前と同じ夏がもうすぐ始まろうとしてる。
今年の6月はいつもよりひどく蒸し暑い。


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