恋の時効

春４月、

僕は幼なじみの葉一と並んで、

見慣れた校門を普通にくぐり、

少し躊躇いがちな足取りで

体育館の方へと向かっていた。

桜は今がちょうど見ごろで

ほぼ満開だった。

まるで、

これからの僕らの前途を

祝福しているかのように。


今日は中学校に入って

初めてのクラス替え。

なんだか妙な気分だ。

嬉しいようなそうでないような…。

よくわからない。

とりあえず空は晴れ渡っていて、

時折、

頬に当たる春風が

なんとも心地良い。

４月の風は

なんでこんなにも

爽やかなのだろうか。

毎年この季節になると

そんなことを考えている。

ような気がする。