恋の時効
…不発。

葉一は何もツッコミを入れずに

スタスタとゲタ箱に進路を取って

歩いていってしまった。

さすがに古典的過ぎたかな。

と、反省しつつ、

慌てて僕はその後を追った。

なんとかゲタ箱付近で追いつき、

<今のはちょっとミスったかな>

なんてことを考えながら

靴を履きかえていた。

久しぶりに履く赤色の上履き(サンダルみたいな感じ)は

どこと無くぎこちない。

一歩、一歩馴染ませるようにして

指定された教室へと向かった。

階段を上っている途中、

あることに気付いた。

「葉、お前、上履きやたらきれいやな。」

「そうか?まあ、そう言われてみれば確かにきれいかもな。なんてたって俺、A型やから」

「あっ、そう。血液型はべつに関係ないと思うけど。」

そんなどーでもいい会話の中から、

初めて葉一の血液型を知った。

ようやく、教室の前に着き、

ドアの所に貼ってある座席表をみた。

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