恋の時効
眠気を誘う穏やかな季節の風が

吹いていたこの時はまだ

彼女との間には一定の距離があったし、

無論、

恋愛感情などなかった。

はずだ。

多分。

当たり前の話だけど、

普通の

どこにでもいそうな

クラスメート、

もう少しよく言えば

他の人よりも

ちょっとだけ距離の近い友達、

として毎日を共に過ごしていた。

まあ、

これといって二人の距離が

一気に縮まるような

出来事なんて起こらなかったし、

僕はなんていうか、

何事においても積極的というよりも、

むしろ消極的だったから

そんなすぐに自分の気持ちを

伝えれるほど器用でもなかった。

ましてや

恋に落ちたりなんていうことは

考えもしていなかった。

僕はそのての感覚には疎かった。


ただ、

クラス替えがあった始業式の朝に

初めて彼女と交わした言葉を

なぜか今でも覚えている。

この言葉が僕たちの始まりだった。

らしい。



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