恋の時効
「おはよう!」

誰かが誰かに

朝の挨拶をしているのが聞こえた。

<すごいなぁ。クラス替え早々フレンドリーな人もいるもんやなぁ>

と机に頬を押し付け

窓の外の舞い散る桜と共に

脱力感に浸りながら思っていた。

「お、おはよう!!」

・・・

さっきよりやけに声が近くに感じた。

<まさかなぁ…>

と思って百八十度反転すると

隣りに座っていた女の子が

なんとなくはにかんだ笑顔で

こちらを見ていた。

ように見えた。

吸い込まれそうなくらいに澄み切った二重の瞳。

凛とした鼻立ち。

みずみずしい潤った唇。

それはなにもかもが

新鮮な景色だった。

可愛いと言うよりは美しい。

そんな印象を受けた女の子だった。

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