恋の時効

桜がまだ咲き誇っていた

４月の始め、

春の季節だった。

初めてみる彼女のその表情に

僕は戸惑いながらも、

「あっ、おっ、おはよ。」

となんとか返事した。

いや、

返事というよりは

反射的に反応してしまった、

と言ったほうが

適切のような気がする。

それがその瞬間僕に出来た

精一杯のリアクションだった。

だって、いきなり

名前もまだはっきり知らない

女の子（しかも初対面？）から

挨拶をされたのだから、

僕の心臓は風船のように膨らみ

いつ破裂してもおかしくなかった。

もともと僕は人（特に女の子）と

話すのが苦手だった。

いつもなら、

ひたすら沈黙を守って、

聞こえていないフリをするか、

会釈で切り抜けるかを

していた僕だったが、

この時はなにか違った。

至近距離だったからっていうのも

あるのかもしれないけど、

それだけじゃないような気がした。

彼女の持つ空気に惹かれたというか、

そのなんてゆうか、

言葉ではうまく表現できないけど…。