恋の時効
が、実際、

僕がノートに書いていたのは

ほとんどが深草さんの横顔だった。

と思う。

なぜなのかは

自分でもよくわからないけど、

気付けばいつも

鉛筆の先は彼女を描き出していた。

まあ、

そんなことは言えるはずもないし、

どうでもよくて、

普通ならここで謝るのが

筋ってもんでしょ。

金賞と銀賞を間違えて、

しかも人の描いた芸術を

落書きだなんて。

なんて殺生な。

だけど、彼女は違った。

しまったとゆうよりはむしろ、

そうだったと言わんばかりの

納得した表情でこう切り返した。

「やっぱり、そうだったよね。」

・・・?

負けず嫌いだな。

しかも相当の。

素直に間違いくらい認めろよ。

大体なにがやっぱりなんだよ!?

と思いながら僕は

視線を彼女からはずし

窓の外にやった。

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