恋の時効
空を包む雲。

木の葉を揺らす風。

自然の雄大な姿に

自分を重ね合わせてみた。

「あーあ。」

と思わず言葉が漏れた。

なぜかって?

教室の中にいる寝癖頭
(ほとんど坊主)

もそのままの男の子が

すごくちっぽけに思えてきたから。

世界では今、

僕が空を眺めている間にも

何人もの人々が

還らぬ命となっている。

一体、どうすれば

世界平和が訪れるのだろうか。

きっと、それにはまず

先進国がもっと

無駄な消費を押さえて、

それから、えーと…。

トントン

「・・・」

「なに考えてるの?」

隣りから聞こえてくる心地よい声が

僕を再び教室に呼び戻した。

「世界情勢。」

「えっ?」

「いや、なんでもない。」

そうぶっきらぼうに言い放つと

彼女は少しふて腐れたように

鉛筆の先を眺めていた。

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