【束縛―ソ・ク・バ・ク―】
【8月】
夏休みに入る前に会社全員参加で毎年恒例の決起大会が行われた。

毎年店を貸しきり、要はビールの飲み会だ。

その日は池本の隣の席に着いた。

池本の右隣の席に高久彩子が座り、
僕や池本に料理を取ってくれたりビールを注いでくれたり、
かいがいしく面倒を見てくれている。

「池本さんから聞いたんですけど・・・、
篠原さんは社内恋愛しないって 決めてるって本当ですか?」

確かに今まで会社の女性と付き合ったことはない。
でも決めてると言った事もない。
高久彩子の問いに僕は池本を見た。

「高久ちゃん、篠原君のこと憧れてるらしいよ。ねぇ~。」
と池本と彩子が顔を見合わせる。

“篠原君とお前が呼ぶな。”

「・・・だって、大人っぽくて素敵だなって。」

「そうだ。高久ちゃん、篠原君の隣に座るといいよ。」
 
高久彩子は25歳で顔も可愛い。
背が低くて守ってあげたくなるような女性で、
彼女と恋愛したい男性社員も少なくない。
僕も好かれれば悪い気はしない。

話をしながら、いい子だなとも思った。

そういえば池本は?
と思い探すと川村多恵子の隣に座って話している。

多恵子の楽しく笑う顔に、僕はなぜかシットする・・・。
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