〔短編〕また、3分後に夢の中で。
「なあ…。俺のこと、知ってるだろう?」

「…クラスメイトでしょう。」

「…じゃあ俺の名前は?」

「え…。」

名前なんて知らない。

私にとって大した存在じゃなかったから、どうでもいいから。

「知らないわよ…。」

男子生徒はその言葉を聞いて、ため息をついた。

そしてまた前方を見つめる。私には闇しか見えないのに。

「また明るい…。俺はそろそろ起きるな。」

「そう…。」

「また来るよ。3分後に。」

「そう…。」

男子生徒は傘を私に渡して、立ち上がった。
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