〔短編〕また、3分後に夢の中で。
「全員リレーの時も大雨で、私が転んじゃったのよね。」

「ああ、その後のバトンは泥だらけだったけど、お前は必死に俺に渡してきたな。」

「そうね。…そうだったんだわ。」

身体はどんどん透けてきて、別れの時がもうすぐそこまで迫っている。

「ねえ、私が一番楽しかった話、聞いて。」

「…何だよ…。」

「あなたが授業中に寝てて…先生に怒られて、みんなが笑って…。くだらないと思ったわ。だけど…。」

私は精一杯笑った。
笑顔になっていたかはわからないけど、私が最後に出来ること。

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