Addicted to you
「うわぁ~すごーい・・・・・・」

 連れてきてもらったプライベートルームは想像よりもずっとすごいものだった。

 部屋の3分の1は波の出来るプールがあって、やしの木やハイビスカスが飾る南国風の内装になっていて、パラソルと2つのチェアー。
 プールの反対側はガラス張りになっているから外から光が入ってくるし、とても広い。
 部屋は横に並ぶ部屋と共通のようだが、仕切りがあるので、外から見える以外は完全なプライベート空間になっていた。
 プール側には通路があって、更衣室や売店などに行けるようになっているが、電話が壁についていて、飲食の注文して持ってきてもらえるのだ。
 もちろん、売店より本格的で料金も割り高だったけれど、ムードはある。

 プライベートルームは4つあり、料金はルーム別の時間貸しだ。
 5人までは入れるので、人数が多いほど得になる。

 それを瀬戸内さんは1人で6時間も借りているのだ。

「ここ、いくらぐらいするんですか?」

 自分の分ぐらいは出そうと思っていたし、多少高くてもお金は持っていたから心配はしていなかったが、純粋な疑問で聞いてみた。

「本当は社長が姪御さんと一緒に来る予定で予約したんだが、遊園地の方が気に入ってしまったようで、それで社長が俺にゆっくりすればいいと、ここの支払いは済ませてしまっていて俺は知らないんだ」

 すっかり瀬戸内さんにお金を支払うつもりだった私は、支払い主が瀬戸内さんの社長さんだと聞いて困惑してしまった。
 そんな私の様子から、何を考えているのか気付いたらしい。

「君は運がいいな。お金のことなど気にせず遊ぶといい」
「あ、でも、あの」
「気にすることはない。社長は頑固な方だから、お金を受け取らないよ」

 受け取らないと言われて、はいそうですかと納得出来る性分じゃない私に、瀬戸内さんがたたみかける様に言葉をかけてきた。

「もし、社長が仕事で誰も姪御さんの面倒を見られなくなってしまった時は、俺から社長に君に面倒を見てもらうように進言するよ。その方が社長も喜ぶ」
「・・・・・・わかりました。何か出来ることがあるのなら絶対言ってくださいね」
「約束する」

 そこまで言われては無理できない。
 社長さんの好意に甘えてさっそく楽しむことにした。
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