Addicted to you
映画が終わり、館内に光が灯ると、瀬戸内さんは目を覚ました。
すぐに自分が寝ていたことに気付いたらしく、少し気まずそうな表情で私に振り向く。
「すまない。寝てしまったようだ。映画館で寝るなど今まで一度もなかったんだが・・・・・・」
「大丈夫ですか? 疲れているのかも」
「いや、今回は半分休暇のようなものだったからな。ゆっくり休みすぎて気分が緩んでいたんだろう」
そう言って前髪をかき上げ、少しはにかむ様に笑っている。
私といても、気を緩めてくれていたのかもしれない。
そんな表情すら可愛いと思ってしまった。
もっと瀬戸内さんと一緒にいたいのに、私は明日帰らなければならないのだ。
私は神奈川に住んでいるから、東京に住んでいる瀬戸内さんとはそう遠くはない。
会えない距離ではないことが、未練を感じさせる。
誰もいなくなった映画館。
隣同士に座ったままの2人。
立ち上がろうとする瀬戸内さんに、私の心は決まった。
「・・・・・・瀬戸内さん」
「ん?」
「私、明日の昼頃にはここを出る予定なんです」
「・・・・そうか」
「だから! もし、嫌じゃなければ東京に帰っても・・・・・・時々でいいから、私と会ってもらえませんか?」
「・・・・・・・・・」
息の詰まるような沈黙と、さぐるような瀬戸内さんの瞳。
「ダメ・・・・ですか?」
祈るような気持ちで瀬戸内さんを見つめていると、瀬戸内さんはポケットから何か取り出し、私に差し出した。
渡された小さなサイズの紙には、瀬戸内さんが言うように、名前と携帯の番号。
そして、メールアドレスが書いてあったのだ。
「これ・・・・・」
「プライベート用の名刺だ。打ち合わせが多く、残業も多い。だからあまり会うことは出来ないかもしれない。電話は、かける前にメールで確認してくれ」
「・・・・・・はい」
その時の私は嬉しすぎて、小さな声で返事をするのが精一杯だった。
すぐに自分が寝ていたことに気付いたらしく、少し気まずそうな表情で私に振り向く。
「すまない。寝てしまったようだ。映画館で寝るなど今まで一度もなかったんだが・・・・・・」
「大丈夫ですか? 疲れているのかも」
「いや、今回は半分休暇のようなものだったからな。ゆっくり休みすぎて気分が緩んでいたんだろう」
そう言って前髪をかき上げ、少しはにかむ様に笑っている。
私といても、気を緩めてくれていたのかもしれない。
そんな表情すら可愛いと思ってしまった。
もっと瀬戸内さんと一緒にいたいのに、私は明日帰らなければならないのだ。
私は神奈川に住んでいるから、東京に住んでいる瀬戸内さんとはそう遠くはない。
会えない距離ではないことが、未練を感じさせる。
誰もいなくなった映画館。
隣同士に座ったままの2人。
立ち上がろうとする瀬戸内さんに、私の心は決まった。
「・・・・・・瀬戸内さん」
「ん?」
「私、明日の昼頃にはここを出る予定なんです」
「・・・・そうか」
「だから! もし、嫌じゃなければ東京に帰っても・・・・・・時々でいいから、私と会ってもらえませんか?」
「・・・・・・・・・」
息の詰まるような沈黙と、さぐるような瀬戸内さんの瞳。
「ダメ・・・・ですか?」
祈るような気持ちで瀬戸内さんを見つめていると、瀬戸内さんはポケットから何か取り出し、私に差し出した。
渡された小さなサイズの紙には、瀬戸内さんが言うように、名前と携帯の番号。
そして、メールアドレスが書いてあったのだ。
「これ・・・・・」
「プライベート用の名刺だ。打ち合わせが多く、残業も多い。だからあまり会うことは出来ないかもしれない。電話は、かける前にメールで確認してくれ」
「・・・・・・はい」
その時の私は嬉しすぎて、小さな声で返事をするのが精一杯だった。