Addicted to you
 海さんが私に気付いたのは気のせいだったのかもしれない。
 もし、気付いたとしても、電話なんてかかってこないかもしれないけれど、私は外にあった噴水に自分の携帯をカバンから出すと投げ捨てた。

 私の自宅も、職場も知らない海さんが知っているのは、着信歴から判る私の携帯番号だけ・・・・。
 携帯番号だけが、私と海さんを繋ぐものだった。
 それを自分から捨てたのだ。

 それしかなかった寂しいつながり・・・・。

 海さんが私を愛していなくても良かった。
 嫌われていないなら・・・・。
 ほんの少しでも私を好きでいてくれるなら・・・・。

 海さんが私に興味がなくても、海さんが辛い時、寂びしい時、苦しい時、傍にいさせてくれるのなら・・・・。





 でも。




 でも、海さんを誰かと分かち合うのだけは嫌!
 それぐらいなら、拒否された方がいい。

 胸が苦しく痛くって、体が張り裂けてしまいそうに痛んだ。

 こんなに誰かを好きになるだなんて思わなかったほど海さんが好きでも、誰かと海さんを分かち合う事は出来ない。
 それが私の倫理に染み付いたもので、どんなに好きでも、これだけはくつがえすことの出来ない理性だった・・・・・。

 私はこの時、初めてでぶつかる事しか知らなかった私の恋を終わらせたのだ。
 自分の手で・・・・・・。

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