Addicted to you
 美香と話していると、自分のディスクの内線が鳴った。

 支店長のお呼びかと思って出れば、そこそこの大口顧客の奥様からだった。
 話を聞いていると、私の横のディスクの内線が鳴り、通りがかった1年生の子がそれを取る。

「相沢さん、支店長がお客様にお茶出して下さいって」

 私は電話で話しながら、無言で頷くとお客様に調べてすぐに折り返し電話すると約束し、私はその子を連れて給湯室まで連れて行った。

「悪いんだけど、私、これから急いで調べないとならないものが出来たから、入れたお茶をお客様に出してくれる?」
「え、あ、はい」

 私は紅茶を入れ、カップをトレイにのせて彼女に持たせた。
 これで、顧客の前に出るという苦手な事をせずに済んだと、ホッとしながらパソコンの前に座る。





 調べものも終わり、その連絡もお客様に入れて一息ついた時、私のディスクの内線が鳴った。

「はい、相沢です」
「あ、相沢君、すまないが、お客様がおかわりをと言われてね。入れて持ってきて欲しいんだが・・・・」
「はい・・・」

 出されたお茶をおかわりする顧客は珍しい。

 いや、いままでなかったことだった。

 今度はわかりに出してくれる子はいない。
 しぶしぶ給湯室に向かう。

 今度はさすがに私が持って行かない理由がなく、新しく紅茶を入れて接客室へと向かった。
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