Addicted to you
「貴雄、貴志」

 司さんが名前を呼ぶと、司さんをもう少し厳つくして、体格を良くしたら似ているようなロマンスグレーの男性と、まだ30代ぐらいの、優しそうな雰囲気の中にも、侮っていると猫が虎だったという感じの男性が振り返った。

「果穂さんを紹介しょう。いつもお前たちに話している和光銀行にお勤めの相沢 果穂さんだ。果穂さん、こちらは息子の貴雄、そしてこっちが孫の貴志」
「こんばんわ、相沢 果穂です。今夜はお招きにお預かりまして・・・」
「おお、やっとお会いできましたね。関 貴雄です。お話はいつも父から伺っていますよ」

 にっこりと笑って言われ、恐縮してしまう。

「初めまして、関 貴志です。祖父がいつも貴女に我侭ばかり申しているようで」
「いいえ、司さん・・・じゃなかった、関様には私の方が色々とお世話になっています」
「祖父は強引なところがありますからね。色々とお世話になったのではなく、色々迷惑をかけられているんじゃないですか?」
「こら、貴志! 何を言う」

 和やかな雰囲気の中、少し3人で話していると貴志さんが、私の手を取った。

「果穂さん、2人で少しお話しませんか? ここでは色々と騒がしい、外に出ましょう」

 内心、きた!と思った瞬間だった。

 お金持ちの司さんの傍に私がいたりすれば釘をさされるのではないかと、予想していたからだ。
 いかに、そんなつもりもないことを判ってもらえるのか、腕の見せ所ってところである。

 『はい』と、返事をしながらも、ちゃんと話せるか不安だった。
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